その後、最初の医師とは違うアレルギー科と呼吸器科がある病院に行ったのですが、結局原因は判明しませんでした。
わかったのは、肺と喉に何らかの炎症がある、と言うことは確実なので、気のせいではないということ。それから、それはブタクサ・カビ等のアレルギーから起こっているものでもない、と言うことでした。
専門の病院に行く方法や、室内の化学物質の飛散量の検査を依頼するという手も考えましたが、@私にもやることがありますので、そのようなことにばかりかかわりあっているわけにも行かないこと、A検査には多大な金がかかり、さらに原因物質が特定されるとは限らないこと(地域によっては保健所で無料で引き受けてくれるらしいです)、B原因物質が特定されたからと言って、大家や管理会社、施工者の責任を問えるとは限らないし、訴訟以外での解決が難しく、また訴訟でも勝ち目が薄いこと、また、C日に日に悪化する体調を放置すると、化学物質過敏症になるおそれがあるという話を聞いたこと、などから、結局移転を決意。
移転までに様々なホルムアルデヒド等の軽減グッズを買ったのですが、その威力は結局わからずじまいでした。
今の家に引っ越してからは症状がぴたっとおさまりました。引越しの際に旧居の見張りを依頼した母が室内にいて気分を悪くしたことから、父母も、十分納得してくれました。
旧居の管理会社は、非常にしっかりとした会社で、こちらのシックハウスではないか、という問い合わせにも気のせいだ、とか、そんなことはないはずだ、とか決め付けることもなく、丁寧に対応してくれました。
出る時も、解約の連絡をした父に、最近はそういうことが多い、と言う話をしてくれて、同情的な対応だったそうです。
しかしながら、だからと言って敷金・礼金が多く戻ってくると言うわけでもなく、結局、礼金一月分、さらに、解約の二ヶ月前に通知が必要だったので、家から出てからもさらに二か月分の家賃を払う羽目になりました。さらに、クリーニング料や鍵交換代金などが5万ほど余計にかかりました。
さらに、新居の仲介手数料、礼金、引っ越し費用等も余計にかかりました。これについては無駄ではないと考えても、結局完全に無駄となったものだけで30万程度の資金が消えました。返ってくる予定がある新居の敷金や新居の手配にかかった費用等を含めると、総額では50万円超が消えています。
私の場合は比較的周囲の理解があったのと、第三者にも症状が出たことから、やむをえず移転する、と言うことになりましたが、一般的には移転できない人のほうが遥かに多いでしょう。お金、時間、あまりにも犠牲が多すぎます。
結局は、我慢したり、換気を頻繁にしたりして対応することになるでしょう。
しかし、長期間すめば、何が起こるかわかったものではありません。一度科学物質過敏症になると、普通の生活をすることすら苦痛の連続で、下手をすれば一生苦しむ羽目になるようです。
しかも、シックハウスになると、家に帰るのが苦痛で仕方ありません。本来心落ち着く場所である家に帰るのが最大の苦しみなのです。そんな状況では、仕事の能率も落ちますから、長い目で見ればどちらが得か、言うまでもないでしょう。
母は、交通事故にあったと思え、と言ってくれました。もし、移転が不可能ではなく、ただ勿体無いと考えているだけなら、出来れば移転することをお勧めします。自分で家を建ててしまったような方は別ですが、賃貸の場合はまだ犠牲が少なくて済むでしょう。
では、このようなことにならないためにはどうしたらいいのでしょう。
まずは、家探しで、信頼できる不動産屋を探すことでしょう。私が今回利用した不動産屋は、もう一軒紹介してくれたマンションも、テレビの取材が来るような有名な心霊スポットの目の前であることが後から判明するなど、少々怪しいところがありました。
見に行くところは心理的瑕疵物件じゃないですよね、という私の冗談での質問に、そのようなことは当社が紹介する物件では絶対ありません、と答えていましたが、そりゃ建物自体は心霊スポットじゃなくても、目の前が心霊スポットなら一言ぐらい言って欲しいものです。近隣では有名で、テレビも来ていると言う事から考えても、知らなかったと言うことは考えづらいですし。
後は、建物の雰囲気でしょうか。
旧居は、入った瞬間、変わった匂いがしました。古い建物はこんなものだ、と考えることなく、そこで考え直していればまた結果は違ったはずです。少しでもおかしいと思ったら、やめておくべきです。さらに、旧居は、いくら古いとはいえ、場所が駅から近く便利であるにもかかわらず、半分以上が空き部屋で、しかも、半年以上人が住んでいない部屋が大半でした。私の部屋も1年近く人が入っていませんでした。(ここから、心理的瑕疵物件の話になったわけです)人が入っていない、ということは、何らかの理由があるのが普通でしょう。また、何の理由もなくとも、最近まで人が住んでいたなら、危険な物件である可能性はかなり減るでしょう。もちろん、シックハウスの反応には個人差があるらしいので、絶対とはいえませんが。
さらには、もしなったとしても、気のせいだと片付けずに、即座に対応することです。私は結局悩んでいる時間の分だけ損をしました。一定以上の蓋然性がある場合は、早く対応した方が金銭的にも身体的にも良いと思います。
また、もし、同居している方に症状が出たときは、馬鹿にしたり、気のせいだと言ったりしないで、ちゃんと話を聞いてあげてください。
本人も、悪意があるわけではないので、そんなことはない、と言われると、我慢してしまったり、自分だけが何かおかしいと思ってしまいがちです。もし、それで悪化してしまったら、取り返しがつきません。
私は、友人の間でも、頑丈で病気知らずで有名で、ひどい環境(と言うより毎回古かったり遠かったりするんですが)の家にばかり住んでおり、さらには何度もの引っ越しによる環境の変化を経験していることから、まさか自分がこのようなことになるとは夢にも思いませんでした。
そのような私ですらなるのですから、皆さんもいつなってもおかしくありません。家探しのときに、そういうことがあるのだ、ということを心がけておくことで、確率はわずかながら減らせますし、なった場合にもすぐに対応が出来ます。
今回の件で思ったのは、今の世の中は危ないものばかりで構成されていると言うことです。
壁紙はビニール製。その接着剤もなんだかわからない。それのみならず、今回の家は、畳も中国産のなんだかよくわからない畳だったそうで、結局どれが原因だかわからない、というよりは、どれが原因でもおかしくない、と言う状態でした。
昨今の食品の偽装や健康被害に限ることなく、いつのまにやら我々は便利を追い求めるあまり何か大事なものをなくしてしまったのではないでしょうか。
少なくとも、私は今回の件があったので、自分で家を探す時や、自分で家を建てるときには、たとえお金や時間が多少かかっても、しっかりとしたものを選んでいこうと思います。これで、自分の家を建てたものの、住むことができない、と言うような事態を避けることが出来たと思えば、今回の出費は仕方ない、と思います。
最後に、やっぱり今回一番力強かったのは、父母や友人が、目先のお金や感情にとらわれることなく、皆私を心配して協力してくれたことです。原因が不明な病気は、周りもいろいろ巻き込まれて辛いかもしれませんが、本人はもっと辛いです。
出来れば皆さんも、周りにそういう人がいたときには、出来る限り力になってください。私も、そういう人間になれるように頑張りたいと思います。


